第12回 HPF合同検討会 議事録

  1. 日時 : 1997年10月16日(木) 午後1:00-5:00
  2. 場所 : 財団法人 高度情報科学技術研究機構(中目黒) 大会議室
  3. 出席者: 以上26名
  4. 配布資料

  5. 新規会員紹介
    岡部寿男氏 京都大学大型計算機センター研究開発部助教授
    大竹和生氏 気象庁予報部数値予報課
    の2名が紹介された。
  6. 検討議事
    1. WG1活動状況報告(太田氏)
      • JAHPF仕様:検討中
      • 訳語決定:150個の内、9割完
      • HPF2仕様書の日本誤訳:第0版が完了(ただし訳語の統一は未)。 統一出来次第(第1版となる) JAHPFホームページにて公開
    2. JAHPF拡張仕様一覧
      1. FULL SHADOW(林氏)
        (質疑)
        • redistributeは可能か? → YES
        • サブルーチンパラメータに書かれた時の影響は? → inherit時は継承

      2. 集計種別指定(太田氏)
        • リダクションの訳語として、集計を使用している。
        • 前回までに比べ、構文を簡潔にすることと、意味の厳密な定義を検討した。

        (質疑)
        • SUM=Sの記述は必須か? → SUMだけ書けばHPF2の意味となる。
        • 実際にはMAXを取っていないのにMAXVALと書いたら文法エラーか、それとも MAXを取ってしまうのか? →検討中のところである。

      3. 並列ループからの手続呼び出し(末広氏)
        • 新たな実行モデルであったextrinsic(private)の提案は取り下げる。
        • 仮引数や大域データのアクセス範囲に関する情報を指定できるよう 手続引用仕様(interface block)を拡張

        (質疑)
        • inferface blockの拡張とは、Fortran95に対する(directiveなしの)拡張か?
          → この提案ではYes.
        • Fortran95の拡張となると影響が大きいので、directiveで出来ないかどうか 検討して欲しい。
          → 了解。

      4. 非同期転送(岩下氏)
        特に質疑無し
      5. LOCAL指示(岩下氏)
        (質疑)
        • 前回からの変更は?
          → 意味的な部分で明確化しただけで、大きなレベルでの変更は無し。

      6. 明示的なSHADOW設定
        (質疑)
        • 何度も更新する時、コンパイラが勝手にshadowを埋めるのではなく、全て reflectでユーザが書けるように出来ないか?
          → コンパイラとしては、配列に代入する所と参照する所の2通りの実現方式がある。 参照する所でやるとして、コンパイラが最適化で前に持って行って、reflectを 超えて上に行く場合問題だ。(コンパイラが賢すぎる場合に問題。)
        • サブルーチンをまたがって値を設定して、最後にreflectしても良いのか?
          → 現在のインプリメントは、参照時にshadowに値を埋める時だけコンパイラが 使うので大丈夫であろう。(つまり参照までは何も使わない)
        • 上記のようなことを実装者へのアドバイスとして、記述しておく事にする。

      7. HOME節のSHADOW拡張(岩下氏
        • まだ検討中であるが、以前ON HOME WITHSHADOWと言っていたものを、 ON EXT_HOME(V):Vの実体またはSHADOWの配置先プロセッサが実行 ON EXT_HOME(V,(シャドウ幅)) にした。これらにはLOCAL指定が必要である。(SHADOW部分で通信を 発生させないため) なお、SHADOW関係は、LOCAL,REFLECT,EXT_HOMEに集約した。

        (質疑)
        • 右辺の参照側で袖の袖が必要な場合は? →この書き方は使えない。
        • 計算部分では、袖の袖を使うより、通信した方が良いかも知れない。 (袖の袖を持って来る時にも通信が必要なので)。 通信と計算の量に依存する。
        • ON HOMEの方を拡張してSHADOW付にしてはどうか? SHADOWなしの時にはSHADOWなしのテンプレートを使う事にして。
          → 計算したくない場合があり、テンプレートでSHADOWなしには出来ない 場合がある。 これはユーザ側で実際の問題で検討して、意見をうかがう事にする。

        • 以下のように仕様をシンプルにした。
        • 複数のループ間のパターンの共通化ではなく、1つのループが何回か (さらに外側の)ループで実行される時のみ共通化。
        • 「通信パターン」ではなく、間接参照のインデックスが変わらないことを 指定する。IF文下で実行される場合は、IFの条件も同一でないとダメ。

        (質疑)
        • 配列参照はインダイレクトでなくてもよいか? → インダイレクトでなくてもよい。



    3. テストプログラム/ベンチマーク開発の検討状況の確認
      • カーネルループの100行程度を抜き出して集め、JAHPFベンチマークとして 整備したい。
      • 公開を考えているので、ソースコードを公表してもよいもの。
      • 各ユーザから1〜2本を希望。
      • JAHPFの拡張が使えるようなパターンのプログラムにして欲しい。
      • 来年の3月までにJAHPFとして収集し、各ベンダで評価することとしたい。
      • 各社の性能を見たい。
      (質疑)
      • JAHPF仕様はすぐにはインプリメントされないので、現時点ではメーカ側 でユーザの意図通り動くように手を入れるかも知れない。
      • (JAHPFでない元もとの)HPFのベンチマークプログラムは世の中にあるのか?
        → 少しあるようだ。
      • MPIバージョンとの比較は出来ないか?
        → ユーザ側でMPI版を作る時間が無い。何本かピックアップしてやることも 先の話として検討したい。
      • 本当はユーザ側でHPF化してほしいが、まずユーザ側にシングル実行 のプログラムを出してもらって、ベンダ側または日立の高橋氏と協調して HPF化を行なう事とする。
    4. ホームページについて(高橋氏)
      • 第1〜3回に行なったHPF仕様説明のOHPをWebで公開したい。MS-WORD、PowerPoint、 またはJLaTeXで送ってもらえれば変換可能。
      • 現在のアドレスは http://www.tokyo.rist.or.jp/~shunchan ただし、トップにこれはまだ非公式ですとのコメントを入れておき、 勝手に見るものがいても拒まない。
      • ホームページでは無いが、メーリングリストのアドレスもnecからristドメイン に移す。(WG1,2,3のメーリングリストも)


    5. 今後の進め方(妹尾氏)
      • 今年度内に、JAHPF仕様Ver1.0を出す。
      • 並行してユーザ会員中心に評価する。
      • 組織の形態は、今年度内は基本的に現行メンバ中心とし、予算内で (2〜3名)、積極的に活動していただける新規会員の入会を可とする。
      • 総会は2〜3か月に1回、活動内容の総括を行なう。具体的な作業はWGで行なう。
      • オープンなワークショップを開催する。時期は検討。
      • 普及促進、宣伝もJAHPFの活動であって、JAHPFの了承があれば発表しても良い。
      (質疑)
      • コンパイラ実現状況が見えない段階で、普及促進しても良いのか?
        →それは、ベンダ側の問題であって、JAHPFの普及とは切り離して考えて欲しい。
      • なお、以下の3件の発表が了承された。
        • 富士通ユーザ会。97年11月6〜7日。発表内容は、岡田氏の講演とポスター セッションでのJAHPFの活動、拡張仕様の紹介。対象は富士通のスパコン ユーザ約100名。
        • RISTの地球環境シミュレーションシステム開発推進委員会の並列技術研究で JAHPFの活動紹介を妹尾氏が行なう。(10月27日)
        • 原研の研究会(11月5日)。妹尾氏がHPFの説明。高橋氏が使用経験。 JAHPFにも若干触れる。


  7.  事務連絡
    次回の総会は98年1月14日(水) 1:00-4:30 に行なう。 内容は 0.9仕様、日本語訳など。
以上